フランシス水車

Francis Turbine

フランシス水車の動作原理

フランシス水車ランナー模式図
単輪単流フランシス水車ランナーの模式図です。

フランシス水車ランナーを流出側を上にして見た図です。
外周部より水が流れ込み中央部より(この図では上の方へ)流れ出します。


フランシス水車ランナー(羽根1枚)模式図
単輪単流フランシス水車ランナー(羽根1枚)の模式図です。

ランナー羽根[runner vane]を1枚だけ見るとこのようになっています。
円盤中央の山型の出っ張りはランナーコーン[runner cone]で水をスムーズに流出させる働きがあります。
(現物のランナーコーン形状は若干異なっています)


フランシス水車ランナー動作原理図
単輪単流フランシス水車ランナーの動作原理図です。

さらに簡略化し、水の流れを描き加えるとこのようになります。
水車外周部より水が流入し、水車内のランナー羽根に当たり水流の向きを変える際、水圧によりランナー羽根を押します。
(図では水流がランナー羽根を押す力は1箇所で作用している様に描いていますが実際には面全体へ連続的に作用します)

水流は外周部より徐々にランナー羽根を押しつつ水圧を下げ中央部より排出されます。
水圧が面積あたりの羽根を押す力、流量が全体での羽根を押す広さとなり水車の出力が決まります。
円状にランナー羽根が並んでいるのと中心軸があるため水車ランナー全体では回転力となります。

また、図では省略していますが、ガイドベーンに依り、羽根に対して直角に近い方向へ水流が曲げられる為、更に効率良く圧力が作用します。

フランシス水車の構造

フランシス水車の水の流れと回転方向

フランシス水車外観模式図
横軸単輪単流フランシス水車の模式図です。
判り易くするため適宜着色しています。

フランシス水車の外観です。

フランシス水車を分解してみる

フランシス水車分解模式図
横軸単輪単流フランシス水車を分解した模式図です。
判り易くするため適宜着色しています。
画像をクリックすると大きい画像をご覧頂けます。

フランシス水車のケーシングを切断し分解するとこのようになっています。


ケーシング(外殻)[casing]
水をランナーの周辺に満たし流し込むためのケースで水圧に耐え得る構造となっています。
図は渦巻ケーシングと呼ばれる蝸牛の形をしたタイプです。
渦巻ケーシング以外に円筒形のタイプ、露出水車のようにケーシングが無く水槽に直接沈めるタイプもあります。
ステーベーン(固定羽根)[stay vane]及びガイドベーン(案内羽根)[guide vane]
ケーシングよりランナーへ均等に水流を導くためにケーシングと一体化された固定羽根のステーベーンが、水量を調節するために可動羽根のガイドベーンが設けられます。
ガイドベーン数枚毎にステーベーン1枚が設けられますが、渦巻ケーシング以外、及び小型水車ではステーベーンを設けない事があります。
ランナー(羽根車)[runner]
水の圧力を受けて回転する部分で水車の心臓部とも言えます。
シャフト(水車軸)[shaft]
ランナーによって発生した回転力を発電機へと伝えます。
ガイドリング[guide ring]及びクランク[crank]
ガイドリングへ接続された駆動装置(図には記載無し)によってガイドリングが回されるとクランクが動きガイドベーンの角度が変わります。
軸受[bearing]、水受[leaked water cup]
回転しているシャフト(水車軸)からの水漏れを最小限に抑えつつシャフト(水車軸)を支えます。
漏れた水は水受で受けて排水されます。
ベンド管[bend tube]
ランナーを回し終わった水がケーシング中央部より排出されますが速やかに排出されるよう下向きに流れを変えます。
吸出管[draft tube]
水車ランナから先、水が流れやすい形状の管を取り付ける事により、最大で大気圧分(水柱で約10m)の圧力が下がり水を引っ張って効率を上げる事が出来ます。
あまり圧力を下げるとキャビテーションが発生しやすくなり水車の磨耗(壊食)の原因となるため控えめに使用されます。

キャビテーション:水の圧力が下がった際に真空や水蒸気の泡が発生、その後圧力が上昇した際に泡が潰れて衝撃波を発生させる現象です。

ランナーとガイドベーン

フランシス水車内部模式図
横軸単輪単流フランシス水車内部の模式図です。
判り易くするため適宜着色しています。

フランシス水車のケーシングを取り払うと内部はこのようになっています。(ステーベーンは残してあります)

ガイドベーン及びガイドリングの動き

ガイドベーン及びガイドリングの動作模式図
横軸単輪単流フランシス水車に於ける
ガイドベーン及びガイドリングの動作模式図です。
判り易くするため適宜着色しています。

ガイドリングを回すと接続されたクランクによりガイドベーン軸の回転運動に変換されます。
ガイドベーンの角度(開度)が変わることにより水量が調節されます。

反動水車からフランシス水車への進化及びその歴史

1827年、フランスの技術者ベノイト・フォーネイロン[Benoit Fourneyron]氏によって
渦巻フォーネイロン水車[Fourneyron Turbine Wheel]という反動作用を利用した水車が発明されました。
(この頃は水が水車中心部より流入し、外周部へと放流されます)

渦巻フォーネイロン水車は1834年に発明された。との記述も見受けられます。

1842年、米マサチューセッツ州フォールリバーのコットンプリント工場主がフランスで稼動している
渦巻フォーネイロン水車を見て、彼の工場の機械主任技師のジョージ・キルバーン[George Kilburn]氏に同様の水車を作らせ、1844年に使い始めました。
この渦巻キルバーン水車[Kilburn Turbine Wheel]は、後にフォールリバーの織物機械製作所
E・C・キルバーン社によって作られた「改良型渦巻フォーネイロン水車」及び「外部放流型渦巻水車」の原型となりました。

1844年、米マサチューセッツ州ローウェルのユーライア・A・ボイドン[Uriah A Boyden]氏が外部放流型渦巻水車の改良版の特許を取りました。
(フランシス氏の経営する会社に勤める技術者がボイドン氏だった?)
これは案内羽根(ガイドベーン)によって水車の回転と同じ向きに流れ込む水の方向を変え、
円錐形の案内部により水の速度を増加させるという特徴的なものでした。
(この時、現在と水の流入、流出方向が同じとなります)

1845年にジェームス・B・フランシス[James Bicheno Francis]氏等によって行われた
「ローウェルの水力実験」において88パーセントの変換効率があることが分かりました。
この実験を基にフランシス氏はその効率の良い水車の理論をまとめ論文を発表しました。

1849年にフランシス氏によって水の流れを逆(外周部より流入、中心部より流出)とする方法が発明された。
また、この時はガイドベーンは存在していなかった。との情報もあります。

その後、ジェームズ・レッフェル[James Leffel]氏がレッフェル型2段水車(詳細は良く分かりませんがフランシス水車と別の形式の水車ランナを組み合わせて使用する水車だったようです)という物も登場しました。
恐らく、最大出力時の効率向上を狙ったものと思われますが、構造が複雑な割には効果が少なかったと見えてそのうち作られなくなったようです。

しばらくはそのままの形でしたが、揚水式発電が行われるようになり、逆転する事でフランシス水車を効率良くポンプとして利用出来るフランシスポンプ水車が登場します。
日本では1959(昭和34)年、四国電力大森川発電所に初めて採用されました。

完成されたかのように思えるフランシス水車も地道に進化を続け、長翼と短翼を交互に配置し乱流を抑えるスプリッタランナー構造が開発され、
(揚水式)スプリッタランナーフランシスポンプ水車は2003(平成15)年3月に東京電力安曇発電所に、
(発電専用)スプリッタランナーフランシス水車は2003(平成15)年4月に関西電力御岳発電所に初めて設置されています。



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