ペルトン水車

Pelton turbine

ペルトン水車の構造と動作原理

横軸単輪単射ペルトン水車外観図
図は横軸単輪単射ペルトン水車です。
各部を判り易くするため着色しています。

ペルトン水車の外観図です。ケーシング内には水は満たされていません。
ケーシングは水車ランナー(バケット)に当たった水が飛び散らないようにするためだけなので耐圧構造は不要です。
(とは言え、飛び散った水の勢いもそれなりにあるのと軸受を支持しているため薄っぺらではありません。)


横軸単射ペルトン水車概要図
横軸単輪単射ペルトン水車概要図です。
各部を判り易くするため着色しています。

ペルトン水車は、水圧のかかった水が射出ノズルにより勢いよく射出(速度水頭に変換)され、
水車ランナーのバケットに真っ直ぐ当たることにより水車を回転させます。

射出速度が面積あたりのバケットを押す力、水量が全体でのバケットを押す広さとなり水車の出力が決まります。

射出ノズルの数は横軸で単射〜2射、立軸だと6射まであります。

水車ランナー[runner]とバケット[bucket]

ペルトン水車ランナーからバケット1つを取り出した図
ペルトン水車ランナーからバケット1つを取り出した図です。
各部を判り易くするため着色しています。

ペルトン水車ランナーの水を受けるお椀の部分をバケットと呼びます。

バケットには射出され当たった水流が速やかに排出されるように切り欠きを設けてあります。

射出ノズル[(jet) nozzle]とニードル[needle]

射出ノズル閉鎖時のイメージ図
射出ノズル閉鎖時のイメージ図です。
各部を判り易くするため着色しています。

射出ノズルには円錐状(富士山型)のニードルと呼ばれる部分が設けられています。
富士山型にすることにより中間開度時に水流が散らずまとまった水流となります。


射出ノズル開放時のイメージ図
射出ノズル開放時のイメージ図です。
各部を判り易くするため着色しています。

ニードルが後方に下がることにより流路が開き水流が射出されます。
下げ具合(開度)を調節することにより流量(出力)の調節が行えます。

デフレクター[deflector]の効果

水流の射出イメージ図
水流の射出イメージ図です。
各部を判り易くするため着色しています。

急制動時、ニードル(流路)を急に閉じると水撃(サージ)が発生します。


デフレクターの動作イメージ図
デフレクターの動作イメージ図です。
各部を判り易くするため着色しています。

デフレクターにより射出水流を逸らせた後、ニードルをゆっくり閉じることにより水撃(サージ)を抑えつつ急制動が掛けられます。
(デフレクターは省略される場合もあります)


デフレクターの動作アニメーション
デフレクターの動作イメージアニメーションです。
各部を判り易くするため着色しています。

デフレクターにより射出水流を逸らせた後、ニードルがゆっくり閉じられる様子をアニメーションにしてみました。
ニードル閉塞動作は実際にはもっとゆっくりしており、1分以上かけて行われる事も有ります。

ペルトン水車の動作上の特徴

急制動時に水撃を抑えられる、ケーシング内に水が満たされておらずケーシングの耐圧構造が不要、
比速度(大きさや形式の異なる水車を同条件に換算した場合の速度)が小さく高落差でも回転速度が低い、
などの特長により、高落差用の大半、超高落差のほぼ全てでペルトン水車が用いられており、
落差が200m程度から1883m(世界最高落差、スイスのビュードロン発電所)まで使用されています。
流量(出力)の変化に対して効率の変動が少ないため、中落差であっても
小出力、マイクロ水力発電で流量による出力の変動を抑えたい場合にも使用されます。
最大効率は他の形式の水車に比べると劣ります。

ペルトン水車の歴史

レスター・アラン・ペルトン[Lester Allan Pelton](1829−09−05生、1908−03−14没)氏によって考えられました。
バケットに分割構造を採り入れたのがペルトン氏です。

1878年に米国カリフォルニア州ネバダ市のメイフラワー鉱山で動力用に使用され、
1887年に同水車に発電機が付けられ発電が開始されたそうです。
その後、1889年8月27日に米国特許を取得しているようです。



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