日本の河川では、まとまった水資源が少ないため、超大容量の水力発電所は作られませんでしたが、
発電所の上下に貯水池を設け、上部の貯水池より流して発電した水を下部の貯水池に溜め、
深夜の余った電力(註)で下部の貯水池から上部の貯水池へと汲み上げて再利用する揚水式水力発電が
行われるようになって、100万キロワットを越える水力発電所も作られるようになっています。
註:深夜の余った電力
大規模な原子力、火力発電所は出力を絞り切るのに時間がかかるため、
夜間に急に出力を下げられず、電気が余ってしまうので、この電力を利用して水を汲み上げています。
揚水式水力発電所は、低負荷時に電力系統を安定させるための負荷としての役割も担っています。
(家庭の電気のように安直に切り離すと脱調という現象を起こし、タービン等を傷めることがあります。
かといって中小の原子力、火力を中心にすると発電コストの面で難があります)
現在、電力会社は一日を通して常時使われる電力(ベースロード)の確保よりも、ピーク時の電力消費の
確保にいかに対応するかに苦労しており、この点で言えば揚水式水力発電は停止状態から僅か数分で
100万キロワット超の最大出力運転に対応出来るので現時点において最良の選択と言えます。
揚水式水力発電は、河川の流入分を含むか含まないかで大きく2つに分けられます。
また、揚水−発電の周期により大きく2つに分けられます。
上部貯水池、下部貯水池が別の河川、又は同一河川でも離れている場所にそれぞれの貯水池を設ける場合に用いられます。
また、上部貯水池は河川にダムを設ける他、天然の湖池沼を利用したり、プール状の貯水池を造る場合が有ります。
上部貯水池の河川流入量が発電電力量の増加に寄与している場合は混合揚水式、殆ど寄与していない場合は純揚水式となります。
上部貯水池が天然の湖池沼であっても、揚水による貯水量の増加を主とする場合にはダム水路式(又はダム式)として扱われます。
上部貯水池に、天然の湖池沼を用います。
豊水期に河川の水を上部貯水池へ揚水、渇水期に上部貯水池から取水して発電を行う場合が該当します。
揚水による貯水量の増加が湖池沼の貯水量に与える影響が小さい為、殆ど混合揚水式となります。
次の2つの場合が該当します。
1.同一河川の比較的近い距離に上部貯水池、下部貯水池が在り、下部貯水池が上部ダムまで達する場合に用いられます。
通常、混合揚水式ですが、上部貯水池の設けてある河川の流入量が少なく、
下部貯水池へ水量の多い別河川が流入している場合は純揚水式となります。
2.上部貯水池と下部貯水池が離れていても上部貯水池からの導水が落差に寄与していないと判断される場合にはダム式として扱われます。
上部貯水池は河川にダムを設ける他、天然の湖池沼を利用したり、プール状の貯水池を造る場合が有ります。
上部貯水池が天然の湖池沼であっても、揚水による貯水量の増加を主とする場合にはダム水路式(又はダム式)として扱われます。