関西電力株式会社 八百津発電所 跡
所在地:岐阜県加茂郡八百津町八百津
交通:JR高山本線 中川辺駅より約10km
特記事項
初の66kV送電が行われ、初の国産鉄塔(川崎造船所製)が使用された水力発電所です。
発電所の放水口直下に超低落差の発電所を設けている珍しい発電所です。
国の重要文化財に指定されていますが、八百津町郷土資料館となっており見学が出来ます。
発電所諸元
- 歴史
- 所有:名古屋電力株式会社[運開]−名古屋電燈株式会社−木曽電気製鉄株式会社−木曽電気興業株式会社−大同電力株式会社−日本発送電株式会社−関西電力株式会社[廃止](下記参照)
- 所有:名古屋電力株式会社[運開]−名古屋電燈株式会社−関西電気株式会社−東邦電力株式会社−日本発送電株式会社−関西電力株式会社[廃止](下記参照)
- 明治42(1909)年 :木曽川発電所着工
- 明治44(1911)年11月:水路完成
- 明治44(1911)年11月:負荷試験時に水車破裂事故発生
- 明治44(1911)年11月:木曽川発電所竣工(7500kW)
- 明治45(1912)年 :初の66kVにて送電開始
- 大正 4(1915)年 :取水口の改修
- 大正 6(1917)年 :放水口発電所完成(1200kW)
- 大正 6(1917)年 :八百津発電所に改称
- 大正11(1922)〜大正13年:発電機コイルを東芝製に巻替(1〜3号機)
- 大正11(1922)〜大正13年:水車を電業社製に取替(9800kW)
- 昭和19(1944)年 :予備発電機を北陸配電 足羽発電所へ譲渡
- 昭和29(1954)年 :丸山発電所運用開始に伴い取水口を変更
- 昭和39(1964)年 :本館発電機用励磁機を静止型に変更、旧励磁機を撤去
- 昭和47(1972)年 :放水口発電所故障により運転休止
- 昭和49(1974)年 :八百津発電所運転休止、閉鎖
- 昭和53(1978)年 :関西電力より八百津町へ八百津発電所及び放水口発電所を無償譲渡
- 昭和63(1988)年 :八百津町郷土資料館として開館
- 平成10(1998)年 :国の重要文化財に指定
- 発電の区分
- 種別:廃止(一般水力)
- 発電形式(落差を得る方法):水路式
- 発電方式(水の利用方法):流込み式(未確認)
- 出力
- 認可最大出力: 7500kW 明治44(1911)年11月
- 8700kW 大正 6(1917)年
- 11000kW 大正13(1924)年
- 水量
- 最大使用水量:26.4立方メートル毎秒
- 落差
- 本発電所有効落差:46.2 m
- 放水口発電所有効落差: 6.67m
- 本発電所設備
- 水車:アメリカ モルガンスミス[S. Morgan Smith]製 横軸フランシス水車 4200馬力×4台(内1台は予備)
- 電業社製 横軸単輪複流フランシス水車 4600馬力×4台
- 発電機:アメリカ ゼネラルエレクトリック[GE]製 2500kW×4台(内1台は予備)
- 芝浦製作所(現東芝)製 3200kW(1〜3号機のコイル巻替)
- 20極、60Hz、三相6600V、384A、4375kVA
- 360rpm、力率0.8、励磁電圧125V
- 放水口発電所設備
- 水車:日立製作所製 開放型4連横軸二輪単流フランシス水車 1800馬力
- 発電機:1200kW×1台
- 32極、60Hz、1500kVA、三相6600V、225rpm、スター結線
- 励磁用発電機:直流100V、35kW、1000rpm
- 河川
- 取水:木曽川
- 放水:木曽川
本データは現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より転載しております。
所有者情報の上段は八百津町郷土資料館様の展示資料より、下段は多治見電燈様より頂きました(どうもありがとうございました)
文化財情報
敷地外及び見学可能な場所から見られない場合でも、絶対に立入禁止の場所へは入らないでください。
国宝・重要文化財(建造物)
- 登録番号:02346(重要文化財)、名称:旧八百津発電所施設(発電所本館/放水口発電所/水槽/余水路)、年代:明治44(1911)年
- 旧八百津発電所施設は,木曽川中流域の右岸に位置する。
発電所本館は,八百津水力発電工事の一環として明治44年に竣工し,大正6年には放水口発電所が本館の北西に建設された。これらは,木曽川水系に最初に設けられた,わが国最初期の大規模発電所の施設として,重要文化財に指定されている。
明治期に建設された関連遺構としては,水槽と余水路が現存する。
水槽は,煉瓦造及びコンクリート造で高台に位置し,これより石造及びコンクリート造の余水路が木曽川に至る。
水槽及び余水路は,発電所本館とともに,わが国で最初期の大規模水路式発電所施設の構成を今に伝える貴重な遺構である。
本データについては、利用規約に基づいて文化庁様、国指定文化財等データベースより転載しています。
フォトギャラリー
発電所建屋
向こうに見える水圧鉄管は丸山発電所です。
右手(東側)に木曽川が流れています(手前が下流)
発電所建屋北側
建屋北側のアップ
左側の屋根の上の方に建設を手がけた名古屋電力の名が入っています。
発電機(手前)、水車(奥)の全景
両者の中間にある機器は調速機及び送油用の機器です
水車側から見たところ
発電機側から見たところ
構内作業用のクレーン(ホイスト)も当時の物が残っていました。
アメリカ ホイティング ファウンダリー エキップメント[Whiting Foundry Equipment Co.]製 20トン
放水口発電所
(御厚意により見学させて頂きました。ありがとうございました)
放水口発電所建屋
開放型横軸二輪単流フランシス水車が用いられています。
発電所建屋の反対側にも同じ水車があり、合計で4連8輪の珍しい形式となっています。
当時、発電用としてのプロペラ、カプラン水車は国内では技術が無く、苦肉の策で多連フランシス水車の採用となった様です。
水車の1連2輪分のアップ
ガイドベーンとガイドリングがむき出しです。
放水口発電所の発電機
両側の回転数の差が生じた場合にそれを吸収するために
たわみ継ぎ手らしき物が両側についています。
本建屋放水口
左側に見えるレールは放水口発電所への取水調整用の堰を開閉する巻揚機のレールです。
放水口発電所取水調整用の堰と巻揚機用のレール
巻揚機は一台しかなくレール上を前後に動いて堰を引き上げていたようです。
堰の巻揚機
たしかドイツ ジーメンス社製(モーター及び制御箱)だったと思います。
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2019-02-09所有者情報詳細追加
2015-06-15文化財情報追加
2013-09-23所有者情報追加
2002-12-13初掲載
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