所在地:栃木県上都賀郡足尾町上間藤
交通:わたらせ渓谷鐵道 間藤駅より約1km
現在、その姿は名残を留めるのみとなってしまいましたが、同じく明治二十三年に運用開始した
下野麻紡織会社の発電所(こちらも現在廃止)と並ぶ関東地方最古参の水力発電所です。
現地案内板より
足尾町指定史蹟
間藤水力発電所跡
明治十年(1877)より足尾銅山を経営した古川市兵衛は、
今までの銅山の動力源である、薪、木炭に代わるべきものとして、
ドイツのジーメンス電気機械製造会社のヘルマン・ケスラー技師の勧めにより、
はじめて水力発電にふみきり、明治二十三年(1890)十二月、
この地(上間藤)に原動所(水力発電所)を完成した。
この水力発電所は日本最初のもので松木川上流(現在の足尾ダム下)と深沢川から用水の取り入れを行った。
2.9kmの水樋はこの山頂の大鉄管に接続し、落水31.8mの水力によってトルビン式横水車を回転させた。
四百馬力の電力は、直ちに揚水機(坑内排水)巻揚機(立坑ケージ用)坑内電車、電灯などに利用、
銅山近代化を強力におしすすめる力となった。
名残をとどめる直径1mの鉄管の一部が上の平がけ下にあり、原動所はこの下の渡良瀬川原にあった。
昭和五十三年三月三十日
足尾町教育委員会
トルビン式横水車とありますが、恐らく横軸タービン(渦巻)水車の事と思われます。
フランシス水車の基となった水車です。
(2003-02-16画像差替)
水圧鉄管の一部が残っています。
管路内部は土砂で埋まっていました。
案内看板は水圧鉄管の右手にもう一枚あり、当時の写真が紹介されていました。
(2003-02-16画像差替)
渡良瀬川の様子
画像左上が上の画像の岩の部分
画像右下が下の画像の発電所基礎跡
(2003-02-16画像差替)
渡良瀬川の川床に残る発電所の基礎
取水口のあった松木川付近。
鉱山の煙、度重なる山火事で木々は枯れ果て荒涼たる景色となっています。
写真には写っていませんが、左手にある足尾砂防ダムが土砂流出を防いでおり、
また、現在も復旧に向けて植林が行われています。