所在地:富山県富山市水須
交通:富山地方鉄道立山線 有峰口駅より約9km(有峰林道観望場所まで)
一般水力に於いて日本最高落差です。
日本で初めて別置ポンプを使用した揚水発電を行いました。(揚水発電そのものでは2番目)
本データは一般社団法人 電力土木技術協会様の許可を頂いて水力発電所データベースより転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
主揚水ポンプ、主揚水ポンプ用電動機、補助揚水ポンプ、補助揚水ポンプ用電動機の諸元については
一般社団法人 電気学会様「電氣學會雑誌 55巻563號 小口川第三發電所揚水設備に就て」及び現地案内板より抜粋
本データは一般財団法人 日本ダム協会様の許可を頂いてダム便覧より転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
本データは一般財団法人 日本ダム協会様の許可を頂いてダム便覧より転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
北陸電力様の御厚意により小口川記念館の見学をさせて頂きました。
貴重な設備を見学させて頂きどうもありがとうございました。
画像は揚水運転を行っていた時に使用されていた6段ポンプユニットです。
画像中央が6段ポンプ本体、画像右側の斜めの配管が吸込口、画像左端のフランジが吐出口となります。
下部貯水池となる真立ダムに設置された補助ポンプにてポンプアップしてから発電所建屋に設置されていた本ポンプへと接続されていたそうです。
6段ポンプを反対側より見た所です。
画像左端のシャフト及びフランジがモーター接続部、
画像右端のドーム状に出っ張っている部分は、お聞きし損ねましたが恐らく水圧変動を吸収している部分と思われます。
そのすぐ左の管路が膨らんでいる部分が流量調節弁となります。
6段ポンプユニットの吐出口側です。
画像右よりの高さのある部分が仕切弁のスルース弁、そのすぐ右に水圧鉄管へと接続するためのフランジが見えます。
6段ポンプの内部です。
遠心ポンプと呼ばれる形式です。
窓の左側に見える赤色の部分とその芯にある銀色の部分が1段分です。
赤色の部分が固定の案内羽根、銀色の部分が回転するポンプ羽根です。
窓の右寄りには銀色のポンプ羽根のみが見えます。
回転方向は手前から上向こうになります。
ポンプ羽根の外周部分はフランシスポンプ水車羽根の外周部分と似た形状となっています。
遠心ポンプは「レイノルズ数」で有名なイギリスのオズボーン・レイノルズ[Osborne Reynolds]氏に依り考案されたそうです。
こちらは小口川ダム前広場に展示してある水圧鉄管(シームレス管、管路長手方向に継ぎ目の無い管)です。
実測で内径が約1000mm、板厚が約33mm、リベット留め部分の板厚が約68mmありました(大雑把な測定のため誤差が有ります)
旧水圧鉄管の諸元からすると割と下の方で使われていた部分のようです。
鉄管の板厚も相当な物ですが接合しているリベットの頭もかなりの大きさです。
本鉄管を製作したドイツのマンネスマン(管製作)株式会社[Mannesmannröhren-Werke AG]について。
ドイツで鋼の加工業を行っていたマンネスマン兄弟、
兄のラインハルト・マンネスマン[Reinhard Mannesmann]氏と弟のマックス・マンネスマン[Max Mannesmann]氏が、
丸鋼の圧延装置を考案した所、中心部に亀裂を生じ失敗しました。
この失敗を逆に利用し、丸鋼に孔を開けてシームレス管を製造するための装置(マンネスマン穿孔機)を考案しました。
その後1885(明治18)年に特許を申請しています。
このマンネスマン穿孔機は現在でも世界中で使用されています。
その後、1890(明治23)年に会社が設立されています。
2005(平成17)年にドイツのザルツジッター株式会社[Salzgitter AG](こちらも老舗、1858年創業の鉄鋼大手)傘下になり、
ザルツギッター(ザルツジッター)・マンネスマン(管製作)有限会社[Salzgitter Mannesmannröhren-Werke GmbH]となっています。
(有限会社と聞くと日本では比較的小規模なイメージが有りますがwikipedia等によるとドイツでは大企業でも割と普通にこの形態を採っているそうです)
同じく小口川ダム前広場に展示してある鉄管弁として使用されていたジョンソンバルブです。
「ゲートとバルブのジョンソンバルブ」のコーナーも御覧ください)
実測で画像左側の入口内径が約1200mm、画像右側の出口内径が約1190mmありました(大雑把な測定のため誤差があります)
有峰林道からその片鱗を望む
(2010-10-31画像追加、2010-08撮影)
有峰林道小口川線から発電所付近の様子を撮影
画像中央奥に見える建物の左奥に発電所が在るのですが此処からは見えませんでした。
(2010-10-31画像追加、2010-08撮影)
此処から見える建物をアップで撮影してみると冬季宿舎でした。
(2010-10-31画像追加、2010-08撮影)
水圧鉄管の上部〜中部は何とか撮影できました。
左上の煙突の様な設備がサージタンク、其処から山肌に沿う様に水圧鉄管が下りて来ているのが判ります。
建屋は画像右下の山影に在ります。
いよいよ発電所へ
(2011-07-03画像追加)
北陸電力様の御厚意により、本電所周辺の土木設備を見学させて頂きました。どうもありがとうございました。
今回掲載分の画像は、通常、立入禁止となっている場所からの撮影となります。
小口川第二発電所サージタンクから保守用道路、軌道を歩いて往くと、遠くに発電所がその姿を現しました。
(2011-07-03画像追加)
小口川林道からも見える冬季宿舎、そして小口川林道からは見えなかった小口川第三発電所建屋とその手前に真立ダムを望めます。
主役と言っても良い水圧鉄管は残念ながら上部を雲に覆われていましたが、山肌に沿って下りて来ている部分が見応え有ります。
(2011-07-03画像追加)
一般水力日本一の落差を誇る小口川第三発電所建屋です。
ペルトン水車のため、放水口は高めの位置に設けられています。
画像左側、鉄塔の下の構造物が補助揚水ポンプが設けられていた場所です。
別の角度より、発電所建屋と水圧鉄管を望む
画像左下の白っぽい部分は沢からの注水口、画像右手の青い建物が小口川第二発電所取水口です。
(2011-07-03画像追加)
現在の水圧鉄管最下部は極普通に見えました。
管路径が小さい点に加えてSM58Qという高張力鋼を用いているので、厚さは17mmで済んでいます。
揚水運転を行っていた頃は、建屋右隣、画像中央部分に在った揚水ポンプ室から画像下部の水圧鉄管まで管路が延びていました。
(2011-07-03画像追加)
揚水ポンプ室跡はコンクリートの一部が残っていました。
(2011-07-03画像追加)
放水口と真立ダム湖
画像右上が補助揚水ポンプが設けられていた場所です。
(2011-07-03画像追加)
現在は小口川第二発電所の調整池(揚水運転を行っていた頃は下部貯水池も兼用)となっている真立ダムの堤体上流面(遮水板)です。
バットレスダムならではの緩い傾斜が特徴的です。
(2011-07-03画像追加)
真立ダム天端の様子
ダム直下は木々が鬱蒼と茂っています。
(2011-07-03画像追加)
真立ダム堤体下流側の様子
バットレス(扶壁)部分の下部から上部へと段差を設けて細くなっている様子、桟の部分のみ壁を厚くしてある耐震バットレス構造が好く判ります。
(2010-10-31画像差替、2010-08撮影)
取水先の祐延ダムです。
揚水運転を行っていた当時は上部貯水池でした。
豪雪地帯かつ標高1400mにもなりますので堤体表面のコンクリートには凍害の跡が目立ちます。
(ちなみに凍害は表層のみでありダムそのものの強度的には全く問題無いです)
(2005-07撮影)
祐延ダム堤体上流側と取水口の様子
ぱっと見ると自由越流型に見えますが堤体上流側からよく見るとスライドゲートが設けられています。
(2005-07撮影)
祐延ダムより下流の様子を見たところです。
左岸には発電所へと続く巡視路が見えます(ただし祐延ダム天端は通行禁止)
右岸に見える道路が有峰林道小口川線(有料道路)でこちらは車で通行できますが
通行止めの場合も有りますので行かれる際はウェブサイト等で事前の確認をしておいた方が安心です。
(2005-07撮影)
祐延ダム湖です。
標高の高いダム湖ですが釣り人の姿を結構見ました。