東京電力リニューアブルパワー株式会社 安曇発電所
所在地:長野県松本市奈川、安曇
交通:松本電鉄 新島々駅より約13km
特記事項
水殿発電所、安曇発電所と2箇所の揚水式発電所が中間の水殿ダム湖を介してカスケード(縦続)接続されています。
日本で最初に中間羽根付きフランシスポンプ水車(スプリッターランナーフランシスポンプ水車)が使用されました。
株式会社東芝製造
発電所諸元
- 歴史
- 所有:東京電力株式会社[運開]−東京電力ホールディングス−東京電力リニューアブルパワー株式会社[現在]
- 昭和44(1969)年 5月 :1〜2号機運用開始
- 昭和44(1969)年10月 :3〜6号機運用開始(揚水運転開始)
- 平成15(2003)年 :4号機をスプリッターランナーフランシスポンプ水車へ交換
- 平成28(2016)年 4月1日:社名変更(東京電力ホールディングス)
- 令和 2(2020)年 4月1日:組織変更(東京電力リニューアブルパワー)
- 発電の区分
- 種別:揚水式水力(1〜2号機は発電専用機)
- 発電形式(落差を得る方法):ダム式(1〜2号機)、ダム水路式(3〜6号機)
- 発電方式(水の利用方法):混合揚水式
- 揚水運転周期:日周期又は週周期(推定)
- 出力
- 認可最大出力:623000kW
- 1〜2号機:211000kW(発電専用)
- 3〜6号機:412000kW(発電/揚水)
- 常時出力: 0kW
- 水量
- 発電時最大使用水量:540.00立方メートル毎秒
- (内、約27立方メートル毎秒は自流分)
- 揚水時最大使用水量:360.00立方メートル毎秒
- 落差
- 有効落差:1〜2号機 135.78m
- 3〜6号機 134.86m
- 設備
- 水車:1〜2号機 立軸単輪単流渦巻フランシス水車
- 重量27500kg、直径3.55m
- 最大出力111000kW
- 最大流量90立方メートル毎秒
- 定格回転速度200rpm
- ポンプ水車:3〜6号機 立軸単輪単流渦巻フランシスポンプ水車
- 重量66500kg、直径5.29m(6号機はステンレス製)
- 最大有効落差135m、最大出力109000kW
- 最大揚程138m、最大入力106000kW
- 最大流量90立方メートル毎秒
- 定格回転速度188rpm、無拘束回転速度310rpm
- 発電機:1〜2号機 立軸三相交流同期発電機×2台
- 発電電動機:3〜6号機 立軸三相交流同期発電電動機×4台
- 50Hz、32極、重量約400トン(水車含)
- 発電機使用時 15.4kV、4086A、力率0.95、励磁電圧440V、界磁電流750A
- 電動機使用時 14kV、4460A、力率1.0、励磁電圧440V、界磁電流675A
- 導水路:総延長3061.6m、主要導水路 口径2.28〜2.65m、延長3035.0m(支水路?)
- 水圧鉄管:内径6000〜3900mm、板厚15〜19mm、延長50.81m、2条(1〜2号機?)
- 入口弁:バタフライバルブ
- 放水路:幅10.00〜53.00m×高7.50〜19.00m、総延長505.0m(1〜2号機?)
- 標高
- 取水位標高:982.00m
- 放水位標高:845.50m
- 面積
- 流域面積:401.9平方キロメートル
- 河川
- 発電時取水(上部貯水池):梓川+奈川[奈川渡ダム]
- 発電時放水(下部貯水池):梓川[水殿ダム]
- 揚水時取水(下部貯水池):梓川+水殿川[水殿ダム]
- 揚水時放水(上部貯水池):梓川[奈川渡ダム]
本データは一般社団法人 電力土木技術協会様の許可を頂いて水力発電所データベースより転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
ダム諸元
上部貯水池
- 名称
- 奈川渡(ながわど)ダム
- 歴史
- 昭和36(1961)年:着手
- 昭和44(1969)年:竣工
- 種類
- 非越流型アーチ式コンクリートダム
- 大きさ
- 堤高:155m、堤頂長:355.5m、堤体積:660,000立方メートル
- 堤頂幅:10m、底部堤体幅:35m
- 容量
- 総貯水容量:123,000,000立方メートル
- 有効貯水容量: 94,000,000立方メートル
- 標高
- 堤頂標高:985m
- 満水位標高:982m
- 取水口中心標高:927m
- 低水位標高:830m
- 面積
- 流域面積:380.5 平方キロメートル
- 湛水面積: 2.74平方キロメートル
- 湛水距離:梓川7.4km、奈川5.9km
- 水門設備等
- 堤体外洪水吐:ローラーゲート×2門
本データは一般財団法人 日本ダム協会様の許可を頂いてダム便覧より転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
下部貯水池
- 名称
- 水殿(みどの)ダム
- 歴史
- 昭和40(1965)年:着手
- 昭和45(1970)年:竣工
- 種類
- 非越流型アーチ式コンクリートダム
- 大きさ
- 堤高:95.5m、堤頂長343.3m、堤体積:301,000立方メートル
- 容量
- 総貯水容量:15,100,000立方メートル
- 有効貯水容量: 4,000,000立方メートル
- 標高
- 高水位標高:853.5m
- 低水位標高:845.5m
- 面積
- 流域面積:431 平方キロメートル
- 湛水面積: 0.57平方キロメートル
- 水門設備等
- 堤体外洪水吐:溢流型テンターゲート×2門
- 放流管:1門
本データは一般財団法人 日本ダム協会様の許可を頂いてダム便覧より転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
水殿ダムの様子は水殿発電所のページに掲載してあります。
ムービーギャラリー
ダムウォーキング 奈川渡ダム/安曇発電所(YouTubeへ移動します)
フォトギャラリー

奈川渡ダムの様子
現場だともの凄い迫力です。

奈川渡ダム湖となる梓湖の様子
右側が梓川、左側が奈川です

ダム堤体上流側の様子
堤体外に設けられている洪水吐のローラーゲートが2門見えます
堤頂上は国道158号線で松本市と高山市を結んでおり、
北アルプス上高地へのアプローチでもあります。

1〜2号機建屋
こちらは揚水は行わず発電のみです。

こちらは揚水式の3〜6号機建屋、上に変電設備が乗っかっています。
一見ダム式のようですが導水管路は画像右手の岩盤をコの字状に
掘られておりダム堤体より少し離れた右岸側の岩盤より取水しています。
この下流に下部貯水池となる水殿ダムがあります。

新信濃変電所への1回線水平配列の送電線、1号鉄塔(烏帽子鉄塔)
この後、見学ツアーに参加してきました(現在発電所の一般公開終了)

1〜2号機建屋と主変圧器、開閉設備
遮断器はABB(空気遮断器)を使っているようです。
見学当日はABBの試験を行っており「ドガッッ」というものすごい音がしていました。

1〜2号機の放水口

立軸単輪単流渦巻フランシスポンプ水車ランナ
重量66500kg、直径5.29mあります。
6号機のポンプ水車ランナはステンレス製だそうです。

ランナーコーン
水車ランナの先端に装着して水の流れを整えるために使います。
通常ランナと一体ですがここまで大型になると別体となっています。

3〜6号機発電所建屋内の様子
上の一回り小さいのが励磁用発電機です。
はねっちさんより、同期始動方式という、定常回転数まで別の発電水車を接続し
揚水運転に入る方式であることを教えていただきました。
情報どうもありがとうございました。(2005-09-29情報修正)

水車軸(撮影アングルの関係で上方が太く写っていますが同じ太さです)
この水車は回転していましたが軸ぶれは全くわかりませんでした。
約400トンもの水車と発電機の重量を30kg毎平方センチメートルという高い油圧をかけた
スラスト軸受けによりわずかに持ち上げて回転させています。

ガイドベーン駆動装置
棒の向こう側に油圧シリンダがあり、シリンダによって棒に連結された環(ガイドリング)が回り
その下にあるガイドベーンが一斉に動く仕掛けになっています。
ガイドベーンとは水車ランナの周りにあり、ランナに流れ込む水量を変え水車の出力の調整を行う物です。

屋外油入空冷変圧器
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2020-10-11ムービーへのリンク追加、揚水流量修正
2020-09-22所有者情報追加
2018-10-28所有者情報詳細追加
2015-06-01発電所諸元詳細追加
2012-09-24スプリッタランナー情報追加
2011-06-17テプコ館閉館及び見学終了情報追加
2008-10-20発電所諸元追加、画像整理
2008-09-24発電所諸元詳細追加整理
2005-09-29 情報修正
2003-01-22 情報追加
2002-10-28初掲載
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