所在地:山形県寒河江市白岩
交通:JR左沢(あてらざわ)線 羽前高松駅より約3km
現存する中では山形県で最も古い水力発電所です。
本データは一般社団法人 電力土木技術協会様の許可を頂いて水力発電所データベースより転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
現地案内板より
適宜改行、漢数字は算用数字へと書き換えています。
白岩発電所の歴史
白岩発電所は明治33年5月16日に竣工仮使用認可を受け150キロワットの出力で同年6月1日より営業運転を開始した発電所で、
県都山形に初めて電気を灯し県内の現存する発電所では最古であり平成12年6月1日で100年になりました。
当初は両羽(りょうう)電気紡績株式会社として山形市・長崎町・寒河江町・白岩町の591戸のお客さまへ電気を供給しました。
両羽電気紡績株式会社はその後明治35年に山形電気株式会社に名称変更し、戦時体制下の昭和17年に日本発送電株式会社と
東北配電株式会社に分割再編され昭和26年から東北電力株式会社となりました。
発電所建設にあたり当時は鉄道が米沢までしか開通しておらず発電機の運搬は米沢まで鉄道、
米沢から赤湯までは建設中の鉄道のトロッコを借りて運びましたが
その先は雪の降るのを待ち、雪舟で10日以上も引いてやっと到着しました。
取水は西川町睦合(むつあい)地内より揚水し、石田(いしだ)、熊野(ゆうの)、宮内(みやうち)、上野(うわの)の各集落を空石積、石張りまたは素掘りという原始的な工法で縦断し
梺(ふもと)白岩(しらいわ)地内に入ってトンネルを3ヶ所くぐり抜け、約4.6キロメートルで水槽にたどりつきました。
発電所の概要は落差22.7メートル、水量毎秒3.5トン、水車は米国マコーミック社製157キロワット、
発電機はゼネラル・エレクトリック社製150キロワットのもので昇圧装置は不明でしたが
送電線は山形市まで一直線に5500ボルトで送電しました。
当時の発電所は所長を始め16人の勤務員で2交代で運転していました。
その後、明治42年頃より電気の利便性が認められ需要が増加し発電力不足となり明治44年出力450キロワットに設備を拡張しました。
水車はドイツフォイト社製652キロワット、発電機は東京芝浦製作所製500キロボルトアンペア、
電圧2200ボルトのものに取り替えられました。
昭和22年8月11日には当発電所より供給していた永松(ながまつ)鉱山線で事故が発生、この事故の影響で発電所が全焼し、
建物や諸機器が焼損したことで明治の面影を知ることは出来なくなりましたが、
唯一水車のケーシングに刻まれたフォイトの銘板のみが当時のままです。
昭和24年火災復旧工事を行い建物やその他機器を新設し、出力も600キロワットに増強し現在に至っています。
東北電力株式会社山形支店
(2008-10撮影)
記念碑と案内板
白岩発電所100周年記念で設置された物です。
(2008-10撮影)
発電所全景
左上が上部水槽です。
寒河江川からは少し離れた場所にあります。
少し地面を掘り下げてあり、放水路はトンネルになっています。
此処での工事を活かして沼山発電所の建設が行われたと思われます。
(2008-10撮影)
水圧鉄管は鉄板を曲げて熔接し短い管を作り、それをリベット接合して長い管にしてあるようです。
(2008-10撮影)
上部水槽
小屋の先が水圧鉄管、左側の水門が余水吐と水抜きです。
(2008-10撮影)
白岩発電所から延びている吉白線
白岩発電所と吉川発電所を結んでいます。
手入れが行き届いており古さを感じさせない鉄塔ですが、現役日本最古の送電鉄塔のようです。
註:上記は撮影当時の情報で現在は撤去されて在りません(2015-11-15情報追加)