北陸電力株式会社 大久保発電所
[別名]塩の発電所
所在地:富山県富山市中大久保
交通:JR高山本線 東八尾駅より約4km
特記事項
北陸地方で初めて運用を開始した水力発電所です。
もしかすると福井県に在った面谷鉱山の発電所(自家用)が先に運用開始していたかも知れません。
発電所諸元
- 歴史
- 所有:富山電燈株式会社[運開]−富山電氣株式会社−日本海電氣株式会社−北陸合同電気株式会社−北陸配電株式会社−北陸電力株式会社[現在]
- 明治32(1899)年 3月 7日:竣工
- 明治32(1899)年 3月29日:運用開始(120kW)
- 明治32(1899)年 4月 1日:供給開始
- 明治40(1907)年 1月 :所有者変更(富山電気)
- 大正 5(1916)年 :2号機運用開始(520kW)
- 昭和 3(1928)年12月 :所有者変更(日本海電気)
- 昭和 6(1931)年 6月 :1号機廃止(400kW)
- 昭和16(1941)年 8月 :所有者変更(北陸合同電気)
- 昭和17(1942)年 4月 :配電統制令により所有者変更(北陸配電)
- 昭和26(1951)年 5月 :電気事業再編成令により所有者変更(北陸電力)
- 平成11(1999)年 3月 :2号機廃止、入替(500kW)
- 発電の区分
- 種別:一般水力
- 発電形式(落差を得る方法):水路式
- 発電方式(水の利用方法):流込み式
- 出力
- 認可最大出力:500kW(運開時120kW)
- 常時出力:290kW
- 水量
- 最大使用水量:3.11立方メートル毎秒(現在)
- 1.20立方メートル毎秒(運用開始時)
- 落差
- 有効落差:20.50メートル(現在)
- 18.2 メートル(運用開始時)
- 設備
- 水車(現在):横軸フランシス水車 出力530kW×1台
- 水車(運用開始時):横軸単輪単流横口フランシス水車 230馬力
- 米国Stilwell-Bierce Smith-Vaile製
- 発電機(現在):横軸三相交流同期発電機×1台
- 発電機(運用開始時):横軸三相交流同期発電機 150kVA
- 米国General Electric製、3500V、25A、600rpm
- 導水路:総延長21.8m、主要導水路 幅2.40m×高2.50m、延長21.8m
- 上部水槽:縦16.80m×横3.00m×高2.38m
- 水圧鉄管(現在):設計最大水頭21.594m、有効落差20.500m、延長36.537m
- 上部旧管部:延長17.950m、内径1235mm
- 材質、板厚SM41A 8mm
- 重量4.9トン、昭和39(1964)年3月製作
- 下部新管部:延長18.587m、内径1520〜1135mm
- 材質、板厚SM400B 16〜9mm、SM400A 8mm
- 重量5.4トン、平成11(1999)年3月製作
- 入口弁:バタフライバルブ
- 放水路:幅3.00m×高2.00m、総延長82.0m
- 標高
- 取水位標高:79.15m
- 放水位標高:57.24m
- 面積
- 流域面積:2063.0平方キロメートル
- 河川
- 取水:神通川[神三ダム]→大久保用水
- 放水:灌漑用水、神通川
神三ダムの諸元及び様子は神通川第三発電所に掲載してあります。
案内板、記念碑等
現地案内板より
明治28(1895)年水力発電所の実現に青春を賭けた密田孝吉青年と、
後援を誓った若き実業家 金岡又左衛門は、富山市の南方12km、
飛騨街道に沿うこの 塩地区を建設地点にと定め、固く手を握り合いました。
明治31(1898)年2月 二人は多くの困難を乗り越え、資本金10万円の富山電灯を設立し、
発電所の建設に着手。明治32(1899)年4月ついに完成。
日本で3番目となった水車発電機(出力120キロワット)を運転し、富山市に初めて電気の供給を開始しました。
当時の契約数は957灯。北陸地方で最初に電気事業として電気の灯を輝かし、
ランプの暮らしに慣れた人々には衝撃的な輝きでした。
大正5(1916)年には、電気の使用量も増加し、国産の2号機(出力400キロワット)が増設されました。
初代の水車発電機は、昭和6(1931)年6月にその役目を終え、
現在は富山支店神通電力部構内(大沢野町笹津)に展示され、富山県電気史の夜明けを物語っています。
また、2号機も82年間にわたり運転されましたが、
平成11(1999)年3月に新しい水車発電機(出力500キロワット)になりました。
北陸に初めて電気を灯してから平成11年で100年を迎え、
現在でも地元の人々に「塩の発電所」として親しまれています。
フォトギャラリー
発電所建屋
水圧鉄管(一番右)と余水用の管路(左2本)
取水先の大久保用水
街灯の向こう(上流側)で右に分流しているのが発電所導水路です。
大久保用水の取水は現在は神三ダムより行われていますが
大久保用水は灌漑用水のため流込み式の水路式水力発電扱いです。
スクリーンのすぐ先が水圧鉄管です
スクリーンの右側から建屋を望む
向こうに見えるのが神通川です。
運用開始当時の水車と発電機を見に行きました。
公開されてはいますが北陸電力様の営業所の敷地内ですので
見学される方は一声掛けてからのほうがいいかと思います。
発電機及び水車全景
非常に保存状態が良好で、巻線だけ巻きかえれば今でも十分使えそうです。
水車の流入口(透明の蓋が取り付けてある部分)と調速部
調速部の様子
ハンドルを回すとガイドベーンが動いて出力調整が出来ます。
さすがにこの頃の水車は手動です。
水車の放水口及び発電機との結合フランジ部
発電機及び水車との結合フランジ部
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2018-11-10所有者情報詳細追加
2010-11-04発電所諸元詳細追加
2008-09-24発電所諸元詳細追加整理
2003-09-22初掲載
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