Tainter gate
radial gate
ダム関連の情報は(財)日本ダム協会様の許可を頂いてダム便覧より転載しております。
その他、事業者様、メーカー様等のパンフレット、webサイト等のデータを参照しています。
弧状の扉体を持ち、軸から放射状に扉体を支える腕(脚)が伸びており、軸を中心に扉体が上下するゲート。
高さが低く抑えられるという利点がありますが、前後方向には厚くなります。
扉体を支える部分の呼称ですが、英語だと[arm](腕)に対し日本語では脚と異なっています。
米国の発明家J.B.テンター[Jeremiah B. Tainter]氏(1836−1920)により1886年に考案されました。
テンターゲートは昭和43(1968)年の水門鉄管技術基準改定版よりラジアルゲートという呼び名を使用するようになっていますが、同じ方式のゲートであり、ラジアルゲートという呼び名は扉体が弧状(ラジアル)に湾曲している所から名付けられたようです。
当サイトでは基本的に、クレスト(天端)に設けられている物をテンターゲートと記載し、上流側に軸がある引張ラジアルゲート、コンジットに設けられている高圧ラジアルゲート等はラジアルゲートと記載しています。
front drive type Tainter(radial) gate
扉体前面巻上(巻揚)方式テンターゲートを上流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
左岸側の扉体の脇のコンクリート(堰柱)を透過して描いています。
巻上(巻揚)機は省略して描いています。
最も広く使用されている方式です。
上流側に巻上(巻揚)ワイヤーが設けられています。
巻き揚げに要する力が最も少なくて済みますが巻上(巻揚)ワイヤーが水に接しているためワイヤーの腐食に特に留意する必要があります。
宇治川電気志津川ダム[大正13(1924)年竣工、現在は天ヶ瀬ダム湖に水没]と大同電力(現、関西電力)大井ダム[大正13(1924)年竣工]に採用された辺りが日本初のようです。
rear drive type Tainter(radial) gate
扉体後面巻上(巻揚)方式テンターゲートを下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
左岸側の扉体の脇のコンクリート(堰柱)を透過して描いています。
巻上(巻揚)機は省略して描いています。
巻上(巻揚)ワイヤーが水に接しないように下流側に設けられています。
扉体前面巻上方式よりも支点に近くなり、巻き揚げに要する力が大きくなるため扉体側に滑車を設け動滑車としています。
北陸電力神一ダム[昭和29(1954)年竣工]に日本で初めて採用されました。
hydraulic drive type Tainter(radial) gate
油圧シリンダー駆動方式テンターゲートを下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
左岸側の扉体の脇のコンクリート(堰柱)を透過して描いています。
巻上(巻揚)ワイヤーの代わりに油圧シリンダーを用いた方式です。
ワイヤーを用いた方式よりも設置コストはかかりますが、上部に機器が出っ張らない、メンテナンスの手間を減らせるなどの利点があります。
ダムのクレストゲートとしては国土交通省近畿地方整備局大滝ダムに日本で初めて採用されました。
high pressure type radial gate
ダム及びコンジットを下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
ダムのコンジットゲートとして用いられています。
ダムのコンジットゲートとしては宮崎県綾北ダム[昭和35(1960)年竣工]、建設省関東地方建設局(現、国土交通省関東地方整備局)二瀬ダム[昭和36(1961)年竣工]、建設省北海道開発局農水部(現、国土交通省北海道開発局)大夕張ダム[昭和37(1962)年竣工]に採用された辺りが日本初のようです。
ダムをカットしてコンジットを下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
ダムをコンジット部分でカットしてみるとこのようになっています。
高圧ラジアルゲートを下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
アップで見るとこのようになっています。
圧力が高いため扉体に掛かる力が非常に大きく、クレストゲートに用いられるテンターゲートと比べてかなり屈強に造られています。
クレストゲートに比べると上部からの支持が容易に出来る為、油圧シリンダーは1本で駆動されます。
tensile type radial gate
閉門状態の引張ラジアルゲート(1枚扉)を下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
通常、テンターゲート、ラジアルゲートには圧縮方向の力が掛かりますが、鋼は引っ張り強度の方が大きいため引っ張り方向の力が掛かるようにした物です。
内閣府沖縄総合事務局羽地ダム[昭和51(1976)年竣工]に日本で初めて採用されました。
(羽地ダムには2枚扉が上下に開くタイプが採用されています)
開門状態の引張ラジアルゲート(1枚扉)を下流左岸側から見た模式図です。
見易くするために適宜着色しています。
大型の物は(閉鎖時に)水密を維持するのが大変なため、基本的にはあまり流量の大きくない部分で用いられています。
低流量放流管等の管端にバルブの替わりに用いると設置費用が抑えられるそうです。