北陸電力株式会社 和田川第二発電所

所在地:富山県富山市亀谷
交通:富山地方鉄道立山線 有峰口駅より約8km

発電所諸元

歴史
所有:北陸電力株式会社[運開]−北陸電力株式会社[現在]
昭和34(1959)年6月:運用開始
発電の区分
種別:一般水力
発電形式(落差を得る方法):ダム水路式
発電方式(水の利用方法):貯水池式
出力
認可最大出力:122000kW
  常時出力: 48200kW
水量
最大使用水量:32.20立方メートル毎秒
落差
有効落差:458.42m
設備
水車:立軸単輪4射ペルトン水車×2台 総出力137800kW
 ランナ部外径3.53m、重量15.5トン、回転数300rpm
 ドイツ フォイト(J.M.Voith)社製
 最大有効落差:470m、出力68900kW、流量16.6立方メートル毎秒
 基準有効落差:430m、出力61400kW、流量16.1立方メートル毎秒
 最低有効落差:380m、出力53200kW、流量16.1立方メートル毎秒
発電機:立軸三相同期発電機(磁気推力軸受使用) 容量70000kVA×2台
 電圧13200V、周波数60Hz、回転数300rpm
導水路:総延長7228.0m、主要導水路 圧力トンネル 口径4.00m、延長7228.0m
調圧水槽:水室式サージタンク 口径7.00m×高116.00m
水圧鉄管:内径3400〜2900mm、板厚21〜32mm、延長543.10m×1条
分岐管:Y分岐
条管:2条
入口弁:ロータリーバルブ
放水路:幅5.00m×高4.00m、総延長9.0m
標高
取水位標高:1088.00m
放水位標高: 604.00m
面積
流域面積:220.0平方キロメートル
河川
取水:神通川水系金木戸川+折立、折立増設発電所+和田川[有峰ダム]
放水:新中地山発電所

本データは一般社団法人 電力土木技術協会様の許可を頂いて水力発電所データベースより転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)

ダム諸元

有峰ダム

名称
有峰(ありみね)ダム
歴史
大正13(1924)年  :計画
昭和11(1936)年  :測量開始
昭和13(1938)年  :富山県により着工
昭和18(1943)年9月:工事中止
昭和31(1956)年9月:北陸電力により着工
昭和35(1960)年8月:竣工
種類
越流型重力式コンクリートダム
大きさ
堤高:140.00m、堤頂長:500.00m
天端幅:6m、下部堤体幅:153m、堤体積:1,568,000立方メートル
容量
 総貯水容量:222,000,000立方メートル
有効貯水容量:204,000,000立方メートル
標高
            堤頂標高:1089.00m
         設計洪水位標高:1088.00m(サーチャージ)
         常時満水位標高:1088.00m
          予備放流水位:1087.90m
           越流頂標高:1081.30m
    有峰第一発電所取水口標高:1040.00m付近
          最低水位標高:1015.00m
和田川第一、第二発電所取水口標高:1004.00m
            基礎標高: 949  m
面積
直接集水面積: 49.93平方キロメートル
  集水面積:220  平方キロメートル(直接分含)
  湛水面積: 5.12平方キロメートル
水門設備等
洪水吐(クレストゲート):テンターゲート×2門
河川維持水用バルブ:1門

本データは現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より転載しております。

有峰ダムの画像は有峰ダム発電所のページにも掲載してあります。

資料、情報等

有峰記念館 展示資料より。若干改編、敬称略

有峰ダムと水力発電

有峰ダムは大正13年、発電用県営ダムとして計画されました。
その後、大洪水をきっかけに、高さ110m、堤体積70万立方メートル、有効貯水容量9千万立方メートルの規模で
昭和11年10月に測量開始、昭和12年に運搬用軌道敷設、昭和13年に工事を開始しました。
また、和田川、有峰、大品山、真川第二の4発電所により最大出力約5万8千キロワットを発電する予定でした。
その後、政治情勢により国策として発足した日本発送電へと昭和17年に引き継がれましたが
戦局の拡大による資材不足により昭和18年9月、基礎部分の掘削20万立方メートルの内16万3千立方メートル、
堤体コンクリート70万立方メートルの内13万8千立方メートルを打設した所で工事が中止されました。
また、発電所も4箇所中2箇所は半分近くの工事を完了、水車、発電機も購入済でした。

第二次世界大戦が終わり、9電力体制としてスタートした際、
水力発電所はその水系を最初に開発した会社に所属するという「一河川一社主義」が採用されたため
戦前の日本電力によって開発されていた黒部川水系、庄川水力によって開発されていた庄川水系が
関西電力の管轄になったため北陸地方は深刻な電力不足に見舞われました。
(神通川水系も日本電力により開発されていますが支流の宮川のみ関西電力管轄になっています)

そのため、北陸電力は神通川水系の再開発を進め、神通川第一、第二、第三発電所を建設すると共に
昭和31年2月、常願寺川有峰発電計画(JAP)を策定しました。
これは、工事が中止された有峰ダムの打設していた分の堤体を利用して規模を2倍以上大きくし、
和田川第一、和田川第二、新中地山、小俣ダム、小俣、常願寺川第一、折立の7発電所を建設し
連係して運用することにより、最大出力26万7600キロワットを発電しようというものです。

当時の北陸電力の資本金50億円に対して総工事費用は実に372億円、
巨額の資金を調達するため当時の北陸電力副社長、金井久兵衛氏が渡米、
2ヶ月に渡る交渉の末、世界銀行より90億円(2500万ドル)の借款協定を締結することに成功しました。

昭和31年9月に13万8千立方メートル打設済みの堤体を利用し着工、
米ユークリッド社製22トン積ダンプカーなど大型重機が導入されました。
当時としては世界的にも類を見ない工事のため世界大ダム会議の視察団も訪れるほどでした。
昭和35年8月、高さ140m、有効貯水量2億立方メートル、堤体積157万立方メートルの有峰ダムが完成しました。

同貯水池の集水面積が貯水量に比して小さいので水資源を有効利用するため
導水路トンネルを設け、同じ常願寺川水系の真川、神通川水系の双六川上流の金木戸川より導水し
年間5億立方メートルの水を確保しており、その総延長は27kmにも及びます。

有峰記念館は、有峰ダム右岸の少し離れた所に在ります。(有峰林道小見線より有峰ダムを渡らず直進)
この他、当時の写真やビデオ画像なども展示しており必見です。
(11月上旬〜5月下旬は閉鎖、夏期は富山地方鉄道様により富山駅より路線バス運行)

ムービーギャラリー

ダムウォーキング 有峰ダム(YouTubeへ移動します)

フォトギャラリー



2020-03-30画像追加(2019-09撮影)
2019-11-18ムービーへのリンク追加
2018-11-10所有者情報詳細追加
2011-07-03画像追加
2010-10-31発電所諸元詳細及び画像追加(2010-08撮影)、真川調整池情報及びサージタンク説明削除
2008-09-24発電所諸元詳細追加整理
2005-08-02画像追加(一部2005-05撮影)
2004-12-08初掲載
Copyright "suiryoku.com". All rights reserved. 連絡先及び注意事項