所在地:富山県富山市亀谷
交通:富山地方鉄道立山線 有峰口駅より約8km
本データは一般社団法人 電力土木技術協会様の許可を頂いて水力発電所データベースより転載しております。(一部は現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より)
本データは現地案内板、銘板及び事業者様パンフレット等の資料より転載しております。
有峰ダムの画像は有峰ダム発電所のページにも掲載してあります。
有峰記念館 展示資料より。若干改編、敬称略
有峰ダムと水力発電
有峰ダムは大正13年、発電用県営ダムとして計画されました。
その後、大洪水をきっかけに、高さ110m、堤体積70万立方メートル、有効貯水容量9千万立方メートルの規模で
昭和11年10月に測量開始、昭和12年に運搬用軌道敷設、昭和13年に工事を開始しました。
また、和田川、有峰、大品山、真川第二の4発電所により最大出力約5万8千キロワットを発電する予定でした。
その後、政治情勢により国策として発足した日本発送電へと昭和17年に引き継がれましたが
戦局の拡大による資材不足により昭和18年9月、基礎部分の掘削20万立方メートルの内16万3千立方メートル、
堤体コンクリート70万立方メートルの内13万8千立方メートルを打設した所で工事が中止されました。
また、発電所も4箇所中2箇所は半分近くの工事を完了、水車、発電機も購入済でした。
第二次世界大戦が終わり、9電力体制としてスタートした際、
水力発電所はその水系を最初に開発した会社に所属するという「一河川一社主義」が採用されたため
戦前の日本電力によって開発されていた黒部川水系、庄川水力によって開発されていた庄川水系が
関西電力の管轄になったため北陸地方は深刻な電力不足に見舞われました。
(神通川水系も日本電力により開発されていますが支流の宮川のみ関西電力管轄になっています)
そのため、北陸電力は神通川水系の再開発を進め、神通川第一、第二、第三発電所を建設すると共に
昭和31年2月、常願寺川有峰発電計画(JAP)を策定しました。
これは、工事が中止された有峰ダムの打設していた分の堤体を利用して規模を2倍以上大きくし、
和田川第一、和田川第二、新中地山、小俣ダム、小俣、常願寺川第一、折立の7発電所を建設し
連係して運用することにより、最大出力26万7600キロワットを発電しようというものです。
当時の北陸電力の資本金50億円に対して総工事費用は実に372億円、
巨額の資金を調達するため当時の北陸電力副社長、金井久兵衛氏が渡米、
2ヶ月に渡る交渉の末、世界銀行より90億円(2500万ドル)の借款協定を締結することに成功しました。
昭和31年9月に13万8千立方メートル打設済みの堤体を利用し着工、
米ユークリッド社製22トン積ダンプカーなど大型重機が導入されました。
当時としては世界的にも類を見ない工事のため世界大ダム会議の視察団も訪れるほどでした。
昭和35年8月、高さ140m、有効貯水量2億立方メートル、堤体積157万立方メートルの有峰ダムが完成しました。
同貯水池の集水面積が貯水量に比して小さいので水資源を有効利用するため
導水路トンネルを設け、同じ常願寺川水系の真川、神通川水系の双六川上流の金木戸川より導水し
年間5億立方メートルの水を確保しており、その総延長は27kmにも及びます。
有峰記念館は、有峰ダム右岸の少し離れた所に在ります。(有峰林道小見線より有峰ダムを渡らず直進)
この他、当時の写真やビデオ画像なども展示しており必見です。
(11月上旬〜5月下旬は閉鎖、夏期は富山地方鉄道様により富山駅より路線バス運行)
ダムウォーキング 有峰ダム(YouTubeへ移動します)
発電所建屋
画像左外には新中地山発電所の取水先の新中地山ダムがあります。
当発電所の放流水も併せて導水されます。
(2011-07-03画像追加)
発電所建屋と放水口
今回、北陸電力様の御厚意により、本電所周辺の土木設備を見学させて頂きました。どうもありがとうございました。
今回掲載分の画像は、通常、立入禁止となっている場所からの撮影となります。
(2011-07-03画像追加)
新中地山発電所取水口スクリーン(画像右下)付近から発電所を望む
(2011-07-03画像追加)
放水口真上から放流水の流れを撮影
流量が多いためか結構な勢いで流れ出しています。
画像右上のスクリーンが新中地山発電所の取水口です。
(2011-07-03画像追加)
水圧鉄管下部
熔接管とサドル支持のためすっきりした印象です。
上流側より水圧鉄管を望む
画像右上から画像左下に向かって水圧鉄管が通っています。
発電所は画像左下のトンネルの向こうです。
下流側より水圧鉄管を望む
右手の水圧鉄管が和田川第二発電所の物、左手の水圧鉄管が和田川第一発電所の物です。
(2005-08-02画像追加、2005-05撮影)
発電所遠景、及び有峰の山々
画像右よりの谷が和田川で右奥の山の向こうに有峰ダムがあります。
画像右下に写っているのが和田川第二発電所です。
(2005-08-02画像追加、2005-05撮影)
発電所と水圧鉄管遠景
水圧鉄管と発電所建屋共に見えているのが和田川第二発電所、発電所が見えず水圧鉄管のみなのが和田川第一発電所、
和田川第二発電所の右奥に建屋のみ写っているのが有峰第一発電所です。
有峰林道和田川線を登っていくとやがて有峰ダムが見えてきました。
少し高所より撮影できました。
右岸(手前側)が直線状に折れていて、左岸(奥側)がカーブしています。
(2005-08-02画像追加)
有峰ダム傍にてカモシカのつがいが雨の中佇んでいました。
有峰ダムを左岸より望む
画像中央奥に有峰記念館があり、建設当時の様子やダムが出来る前の様子
有峰の豊かな自然などを紹介しています。
(2020-03-30画像追加、2019-09撮影)
左岸からの有峰ダム、少し引いたアングルで撮影しました。
有峰ダム減勢工の様子
以前は河川維持水の放流バルブ室でしたが、その後、有峰ダム発電所が設けられています。
有峰ダム下流の様子
画像右下の建物より和田川第一、第二発電所へ導水されています。
有峰ダム堤体上流側の様子
右手に見える塔が和田川第一、第二発電所の選択取水設備で
その向こうに2箇所切れ込んでいるのがクレストゲートです。
洪水時満水位標高はなんと天端標高の僅か1メートル下です。
有峰ダム堤体上流側を高所より望む
中央のクレストゲートの右側にある選択取水設備が和田川第一、第二発電所の物です。
画像左手に写っている選択取水塔は有峰第一発電所の物です。
(2005-08-02画像追加)
満水近い有峰ダム堤体上流側を高所より望む
まさになみなみという表現がぴったりです。
(2005-08-02画像追加)
満水近い有峰ダムを別方向より撮影
これでもまだ満水位標高まであと1.5m程余裕があるようです。
1.5mと書くと余裕がなさそうですが、768万立方メートル(湛水面積×水深の概算)も貯められます。
有峰湖の様子
奥が大多和峠及び神岡方面です。
画像奥左手、山向こうの神通川水系、双六川上流の金木戸川及び
画像のずっと左側の真川より導水しています。
(2005-08-02画像追加)
雨の有峰湖
独特の静けさ感というか威圧感のようなものを感じさせます。
(2010-10-31画像追加、2010-08撮影)
金木戸川及び支川から取水された水が導水されてきます。
透明度が素晴らしいです。
(2010-10-31画像追加、2010-08撮影)
沈砂池にて土砂を抑えた後、東谷へと合流し有峰湖へと注ぎます。
(2010-10-31画像追加、2010-08撮影)
東谷も結構透明度の高い水が流れています。
(2020-03-30画像追加、2019-09撮影)
和田川の支川で有峰ダムよりも下流で合流している足谷(西坂森谷)から有峰ダムへも支水路が設けられており、その取水ダムと周辺の様子を撮影しました。
(2020-03-30画像追加、2019-09撮影)
下流右岸から足谷取水ダムを撮影しました。
(2020-03-30画像追加、2019-09撮影)
足谷取水ダムのチロル式取水設備です。